27年前の自分は東京で、「北海道から来た予備校生」だった
もう三十年近くも前になりますが・・・東京で私は、「北海道出身の予備校生」でした。この頃のことは今でもよく覚えていますので、きっと大切な一年だったのでしょう。
フォークの名曲『神田川』に出てくるような「三畳一間の小さな下宿」に住んで、予備校へはほとんど行かず、やったと言えるのはアルバイトくらいです。
行きつけの喫茶店があって、趣味でやっているような老夫婦が経営していました。その年の年末近く、夜になってコーヒーを飲みに行くと「懐かしいでしょう?」と、用意していたという数の子を出してくれました。北海道人だから数の子が懐かしいということはないのですが・・・気持が嬉しかったです。
そんな暮らしでは当然ながらどこにも合格せず、春を迎えましたが・・・喫茶店の老夫婦は送別会を開いてくれ、励まされて次の場所へ。
その後、東京に用があれば立ち寄るようにしていましたが、二年前に行った際に店はなくなっていました。
あの一年は、自分が何にでもなれるような気がして、でも大切なものは他にもあるような気がして。今では、「あれは必要な時間だったのだ」と思っています。
| 固定リンク
コメント